「犬と人、誰が誰を癒しているのだろう?」
初心者セラピー犬と保護犬と、少女の挑戦
そんなことを考えさせられる、忘れられない出会いがありました。
私は今、保護犬あお君を預かり、そしてマッシュ(麻呂)をセラピー犬として育てる活動を始めました。
初心者セラピー犬のマッシュ(麻呂)、そして保護犬のあお君とともに、
少しずつですが社会に優しさの輪を広げたいと願っています。
ある日、職場の同僚にその活動の話をしたところ、彼女がこう言いました。
「娘に、あお君達を会わせてみたい。」

Yちゃんと保護犬あお君の初めての出会い
私は今の職場に勤めて15年になります。
その同僚とは長い付き合いで、彼女の娘さん、Yちゃんのことも小さな頃から知っています。
Yちゃんは、幼い頃に「自閉症スペクトラム障害」と診断された子です。
音楽家の米津玄師さんと同じ、いわゆる「高機能自閉症」と呼ばれるタイプ。
彼女は日々、対人関係に難しさを感じながらも、懸命に生きています。
そして、町の公園でその日がやってきました。
マッシュとあお君にとっても、これが初めての“公園デビュー”です。
少女の笑顔と、小さな不安
公園で出会ったYちゃんは、とても嬉しそうに笑っていました。
でも同時に、少し怯えているようでもありました。
犬たちを目の前に、彼女の身体はぎこちなく固まっていました。
同僚のお母さんが優しくリードしてくれます。
最初は触ることもできなかったYちゃん。
それでも、わんこ達と同じ空間にいることで
「この子たちは怖くない」と、少しずつ安心できたようでした。
歩幅を合わせて公園を歩きながら、
風に揺れる草の匂いと、命のあたたかさを感じながら、
Yちゃんも、あお君も、マッシュも、私たちも――
”誰かを癒し、そして癒される時間”を過ごしました。
「また会おうね」――指切りの約束
そろそろ帰る時間。
Yちゃんが、あお君の前に小さな手を差し出しました。
あお君が、そっとその手に鼻先を触れます。
「また、会おうね」
そう言って、Yちゃんはあお君の手を取って、指切りをしました。
あお君も、まるで分かっているかのようにおとなしくその手に向かいます。
ほんの短い時間だったけれど、
Yちゃんと、あお君と、マッシュと、私たちの間には
言葉を超えた「なにか大切なもの」が流れていたように思います。
誰かを支える存在に
あの時、Yちゃんはほんの少し勇気を出しました。
あお君も、ほんの少しの一歩を踏み出しました。
マッシュ(麻呂)も初心者セラピー犬としての経験をしました。
そしてお互いを癒し合い、支え合い、笑顔になりました。
小さな指切りの約束には、
大きな意味が込められていたのかもしれません。
最後に
Yちゃんのように、対人関係や感覚の違いから
日常の中でたくさんの「怖さ」や「緊張」を感じている子どもたちがいます。
そして、あお君のように、過去に傷を抱えながらも
人と関わることをもう一度信じようとする犬たちがいます。
そんな彼らを、繋げる存在に私はなりたい。
小さな手と、あたたかい鼻先が交わした約束のように
これからも、たくさんの人と犬の心を繋いでいけると信じています。
最後まで、読んでいただきましてありがとうございます!
少しでも誰かの支えになれたら嬉しいです。
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